0052「キリンプラザ大阪」



<作品コメント>
 商都大阪は心斎橋のたもとに立つ商業ビル。関西以外の方には、松田優作最後の映画「ブラックレイン」で「クラブミヤコ」として登場したビルだといえばお判りいただけるだろうか。建築家・高松伸氏の数ある作品の中でも私の最もお気に入りである。
 この建物は平面が真四角で、まわりの四面がほぼ同じデザインの繰り返しという特徴を持つのだが、「じゃあ作るの楽じゃん」と思った人は、私と同じ罠にハマるクチであろう。つまり四面形が同じなら、なんと部品を4の倍数分用意しなければならないのだ。
 一面に4コ使われた部品は16コ。8コ使われた部品は32コ…。
 こうなってくると、おのずと造形計画は数のある基本ブロックを中心に考えざるを得なくなる。幸い、練り直しやすいデザインではあるので、「持ち駒を使ってどう構築するか」を再度検討し、完成形に至った。
 しかしそれでも、プロポーションを確実にするために採用した「15ポッチ幅」という中途半端な数字が、最後まで悩みのタネとなったのだった。

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