「ブリックファンタウン2008」は、レゴファンが集まって巨大な街を造作したプロジェクト。栃木県の那須ハイランドパークにあるレゴ展示施設「レゴスタジアム」にスペースを借り、一年近く展示された。 従来からファンが集まって建物を並べるようなイベントは内外で催されてきたが、川など地形的な概念も含めて再現するものはあまり類例がない。 この架空の街「ブリックファンタウン」はヨーロッパの地方都市を想定して形作られており、旧市街や新市街、港湾区といったエリアがある。その中で私は、新市街の建物を中心に計8つの区画を手がけた。 <街区全体図> □部分が制作した建物 旧市街が基本的に中間色中心でディテールの凝縮した建物で占められていることもあり、新市街の建物ではこれらと対比させる意味で白・赤ほか原色系の色遣いとクリーンなディテールを心がけた。またこれは、余計な出費を抑えるために手持ちの一般的な基本ブロックを多用するための策でもあった。 0273 旧スタッドソンビル 1890年築の生鮮品輸送会社の社屋を取り壊し、まったく新しく建てたビル(SFFの文字は、Studson's Fresh Freighterの略)。ただしその外観には一部、旧ビルの面影を再現している。1階はブティック、2階は美容院、3階は設計事務所、4階は設計事務所所長兼ビルオーナーの自宅。エレベータは油圧駆動でトロい。裏庭に3on3のバスケットコートがある。 <解説> 切り裂かれた表層の表現を得意とした昔の鈴木エドワードと端正な安藤忠雄の融合っぽいイメージ。 街全体の時代設定が「ちょっと前」だそうなので、四半世紀前と勝手に判断し、3階の設計事務所にはCADではなくドラフターが並んでいる。 0274 ゴールデングレインビル
0275 市営住宅 新市街再開発の一環として建設された、低所得層向けの集合住宅。主な間取りは1DK。部屋によって違う窓配置など内外観に趣向を凝らした造りによって街区をポップに彩っている。通りに面してカフェ、ベーカリー、食料品店が店を構える。 ビル中央に中庭に続く吹き抜け通路があり、上層階への玄関もこの通路に面している。裏からの眺めは若干大衆的で、すべり台などの遊具が並んでいる。 <解説> 福岡にある「ネクサスワールド」が元ネタ。色使いはほぼそのままだが規模がだいぶ小さい。 0276 デーリーペグ新聞社
0277 工事現場
ジオラマでの新市街の一角 0278 アップツー(UP2)ビル 駅前の商業ビル。1階にはリバービューのデッキを備えたカフェと、観光案内所。2階は本屋、3階はカルチャーセンター(ダンススタジオ)。1階ホールには新しく発表されたコンバーチブルカーが立てかけるようにして飾られている。建物の外周にある階段は屋上まで自由に上がることができ、屋上は旧市街を眺望する展望デッキとなっている(エレベータも利用可能)。 <解説> イベント前の追い込み時期に3日ほどで作った。どういう物を作るかはある程度固めてあったため、出来上がりまでは一気。ただ、3階建て+屋上で、決して旧市街に対して高い建物でないため、想定していた「展望台から市街を一望」という野望は崩れてしまった。 0279 ダンスクマーケット デンマーク産の酪農品を扱う商店。ファサードがデンマーク国旗を模している。建築当初は2つの建物だったものが、ある時期からぶち抜いたひとつの建物へと改変されている。その名残りが裏庭側の出入口で、2つあるうちのひとつが壁に塗り込められて縁取りだけになっている。 2・3階はオーナーの住宅。 <解説> 設営当日まで空き地だった区画を埋めるために作った即興作品。当初から、街のどこかにレゴに敬意を表したデンマーク旗を織り込もうと画策していたのだが、こんなにでかい旗に(笑)。 0280 住宅 参加作品のなかで唯一、旧市街に位置する建物。1930年頃の建築と想定。3階フロアを最大限有効に確保するために屋根は限りなく飾り物に近い。屋上があり、洗濯干しなどに使われる。地下階から裏庭に出るドアがある。 <解説> レゴ製品の「別荘」を素体に、ストリートに面した街のビルへと改変したもの。 0281〜 車両群 街のレギュレーションとして、小型車は4ポッチ幅と決められていたため、これに倣った。さほど特殊な組みあがりのモデルはない。 左下より、#10184タウンプランセット品の改造、0281フォークリフト、「空港ってどんなとこ?」の流用車両、0282ラリーレプリカ、0283デリバリーワゴン、「空港ってどんなとこ?」の流用車両。 左上より、「スタジアムモデル」の流用車両、#10184タウンプランセット品の改造、0284軽自動車、0285軽スポーツカー、0283の色違い、#7620セット品のバイク。 <参考>ブリックファンタウン2008」公式サイト
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